story.1 

Prae Interior 香川拓也さん

「見る、触れる、座る。お客さまが感じて納得したものを提案したい」

第一回目は、徳島市佐古四番町で北欧家具と雑貨、オリジナル家具のお店を営む「Prae Interior」の香川拓也さんにお話をお聞きしました。

香川さんが「Prae Interior」をはじめたのは2010年。北欧ビンテージ家具を扱うお店にしたのは、大学生のときに旅先のデンマークで訪れた美術館に、来館者用として置かれているハンス・J・ウェグナーやフィン・ユールがデザインした椅子に座り、感銘を受けたのがきっかけだそう。
大学卒業後、商社で流通や貿易のことを学んだのち、京都の家具屋へ就職。家具の買い付けから接客、オーダー家具の設計まで、インテリアショップを経営するうえで必要なノウハウを身につけ、29歳という若さで独立しました。
独立の場所として徳島を選んだのは、香川さんが3歳から15歳まで過ごしたなじみのある土地であるいうことや、奥さんの実家があるという理由もありますが、「都会の早い動きよりも、地方のゆっくりな動きが性に合っているから」と香川さん。

「オープン当初はデンマークから輸入する北欧のビンテージ家具やメーカーの家具のみを扱っていましたが、今はオーダーやセミオーダーの家具の割合が増えています。ビンテージのソファや椅子は、デザインは美しいのですが、日本人とデンマーク人では平均身長が違うので、その方の生活を考えたときに疑問符がつくようになり、サイズ感や足の長さが自由に調整できるオーダー家具をつくりはじめました。」

  香川さんがデザインを手がけるオーダーソファ。
 

家具は生活と共にあるものと考える香川さん。デザインありきではなく、生活ありきのものとして、徳島の暮らしに寄り添うオーダー家具を信頼する工房と一緒に製作。デザイン・設計も手がけるソファは、座り心地や耐久性に重きを置きながら、北欧のビンテージ家具と一緒にならんでも違和感がないデザインが魅力。どことなく温かい空気感を纏っています。

  商品の配置やテーブルコーディネートは、商品の入荷ごとに変え、
来店するたびに新しい発見があるお店づくりを心がけています。
 

コロナの影響で渡航できない今年は断念せざるをえませんでしたが、毎年デンマーク、スウェーデン、フィンランドへ家具や雑貨を買い付けに出かけているそうです。普段の買い付けは現地に住む嘱託スタッフに発注して仕入れているため、今も通常通りの営業はできていますが、本当にやりたいことはもう一歩、二歩踏み込んだところにあると言います。


 

「仕事自体は問題なく動いているように見えますが、今仕入れられるものは自分が知っているものだけ。❝あのデザイナーのキャビネットが欲しい、この時代のものが欲しい❞というのはできるのですが、自分の知識に無く、そして衝動に触れるようなものは画面からではなく現地で自分の眼で見つけるが一番なんです。それはすごくいい意味の衝動買いで、そういうものこそがお客さまの感性を揺さぶると思っていて。私がやりたいことはお客さまの琴線にふれるものを提案することなので、今はすごく不自由で、早く現地に行きたいです。」


 
 

感じることを大切にしている香川さんは、お客さまが実際に見て、触れて、座って、本当に納得したうえで使ってほしいと言います。例えば椅子を選ぶときに、お店にあるものの中で決めてほしいという思いは一切ありません。できるだけたくさんのお店を見たうえで、うちの店がよかったらそれでいいし、他の店がよかったらそれでいいというスタンス。その積み重ねがお客さまの信頼につながり、徳島の人たちから支持され続けているのだと納得しました。


 
 

11年目に突入した「Prae Interior」。今後の目標は「徳島という土地で今までにない提案ができれば」と香川さん。その試みの一つが、今年の8月に「いえにわ」が設計・施工を手がけた住宅でのオープンハウス。実際の暮らしがイメージできるよう、香川さんがセレクトした家具、食器、雑貨でリビングやキッチンのコーディネートをお願いしました。おかげさまでモデルルームとは違う、暮らし提案型のオープンハウスはお客さまに大好評。「これからも建築家さんたちとも一緒に、オープンハウスなどでその人の暮らしを視覚化できるような空間をつくり、形式化されないもう一歩二歩進んだ提案を一緒になってできたら」と語ってくれました。

最後に、お家のこだわりを聞いてみました。
ご自宅でも北欧のビンテージ家具や北欧のデザインにインスパイアされた日本製の家具など、店舗で扱っている家具や雑貨、食器を使っているそうです。大切にしているのは、家族のカタチや年齢、生活も変わっていく中で、常に一歩先があるよう、空間の完成度は8割をずっと続けること。その考えはお店も同様で、プラエという屋号はラテン語で、英語のプレと同じ意味。一歩手前の状態、もう一歩先があることを目標にして動くという思いが込められています。香川さんは日々の生活でも仕事でも、常に一歩先にある暮らしの楽しみを考え、よりよい生活をつくっていくことを体現しながら、これからも進み続けていくのだと感じました。
 
 
 
 
次回予告、

香川さんからのご紹介は、
日本各地の民藝や手しごとのものを提案する
「遠近 をちこち」のオーナー東尾厚志さんです!